基準9:社会連携・社会貢献
学生の学びと結びついた地域貢献活動
取組み事例
学内サークル・学生赤十字奉仕団(JRC:Junior Red Cross)や観光サークル等が教職員による助言・サポートを受けて、宮古市における東日本大震災からの復興支援や台風復旧の作業、地域の祭りにおけるボランティアなどに取り組んでいる。また、宮古市が主宰する「宮古市まち・ひと・しごと創生総合戦略市民推進委員会」に学生が委員として参画し、学生の視点から観光地としての宮古市に付加価値を高める意見を提示するなど、参加学生の社会人基礎力の涵養に資するとともに、専門教育と地域貢献を結び付けた教育の場としても機能していることは評価できる。
ここがポイント
- 教職員のサポートのもと、学生が主体となって宮古市の震災復興支援や台風復旧の作業、地域のお祭りのボランティアなどに取り組んでいる。
- 正課外活動として、宮古市の豊かな環境づくり・定住促進を目的とした委員会にも学生が参画し、観光地としての宮古市の魅力を高める活動を行っている。
- このような取り組みが地域貢献のみならず、学生の学びの場としても機能している。
大学からのコメント
本学部生が取り組んでいる社会連携・社会貢献として2事例を紹介する。 (1) 岩手県立大学宮古短期大学部学生赤十字奉仕団(Junior Red Cross=JRC)(以下「本団」という。)では、日本赤十字社の青年赤十字の一環として赤十字運動の根幹であるボランティア活動を機会あるごとに実施し、本学部生の地域に対する理解に努めている。本団としては、①地域に貢献、②日本赤十字社諸活動補助、③自らの自主性向上、④地域住民との深い交流という4点を基本方針・目標にしており、地域の方々の御指導を戴きつつ協働している。その活動は、当初から宮古市社会福祉協議会の指導を受けており、こうしたことが東日本大震災津波に対する支援活動や、外部団体と協働することの重要性を認識する端緒ともなった。 特に、東日本大震災津波発災時には、岩手県における沿岸部唯一の高等教育機関として、被災者援助のために立ち上がり、当時、宮古市にいた本学部生を中心に、支援物資の仕分け作業を中心とした支援活動に着手した。その後、帰省中であった本学部生が宮古市に揃った頃、ちょうど市内各地で被災家屋や道路側溝の津波泥清掃作業が始まり、本団もこれに参加し、支援活動に従事した。さらに、大規模仮設住宅が本学部のキャンパス隣地に建設されると、鍋料理を囲む懇談会や東京の創作パン研究家とともに手作りパンの試食会など多様な支援も行った。そのほか、継続的活動としては、日本赤十字社献血、陸中宮古青年会議所主催行事協働、NPO法人みやっこベース事業協働、高齢者福祉施設の行事支援、宮古市内各種団体事業参加、台風被害など災害時の復旧支援といった、幅広い活動を展開し、地域社会に貢献している。 (2)観光サークルでは、(一社)宮古観光文化交流協会(以下「協会」という。)と連携し、地元である宮古市を中心とした各種イベントでのボランティア活動や、本学部と協会との「地域協働研究」に、アンケートや現地調査の協力を行っている。これまでに、黒森神楽例大祭エコウォークツアー、宮古サンマまつり、宮古毛ガニ祭り、浄土ヶ浜夜市等におけるイベント補助や出店ボランティア、PR活動等に参加している。イベントへのボランティア参加をするにあたり、事前の研修会や現地調査等を通じて地域の歴史や文化を学び、企画にも一部携わりながら参加をしている。これらの活動によって、若年層を中心とした人口減少という課題を抱える宮古地域における、文化や祭りの継承、本学部と地域との連携にも大いに寄与している。 また、コロナ禍における観光客減少などの課題に対する本学部と協会との「地域協働研究」でも、観光イベントでのアンケート調査や、岩手県の内陸及び沿岸部の高校生に対する観光アンケート調査に参加協力し、若者層を中心とした地域、年代別の観光調査分析などにも携わった。さらに、令和4年度には、宮古市と連携し、新たに認定された市のイメージカラーである「浄土ヶ浜エターナルグリーン」に対するアンケート調査や活用検討、意見交換会も実施している。 なお、「宮古市まち・ひと・しごと創生総合戦略市民推進委員会」に本学部生が委員のひとりとして参画しているが、個々人の関与を取り上げることはできないものの、委員会の経過や結果については、宮古市Webサイトの「宮古市まち・ひと・しごと創生総合戦略の取り組みに係る効果検証について」で確認できるので、参照されたい。
