基準9:社会連携・社会貢献
歴史的資産「菊坂跡見塾(旧伊勢屋質店)」の教育活用による、地域社会と協働した地域連携の取り組み
取組み事例
「地域交流センター」を教学組織として位置づけ、キャンパス所在地の自治体と協定を締結し、地域社会と協働した地域連携に注力している。なかでも、文京区指定有形文化財に指定された菊坂跡見塾(旧伊勢屋質店)を学生による地域コミュニティの実践の場とし、授業の一環で地域と連携したイベント企画・運営に取り組んでいる。このように、文化財を歴史的資産として保存するだけでなく、教育で活用し、自治体や地域社会と大学の連携を深め、地域社会の活性化につなげていることは評価できる。
ここがポイント
- 「地域交流センター」を大学附属教育研究組織とし、教員と学生の地域交流活動を支援・統括している。
- 文化財の保存に取り組むだけでなく、教育で活用することで、地域連携を深め地域の活性化に貢献している。
大学からのコメント
【地域交流センターの教学組織化】 本学では、主にキャンパスの所在する地域社会との協働を強化すべく、2015年度に事務局内に地域交流担当を設け、2016年度には事務局内の組織として地域交流センターが設置されました。2019年度、これを教学組織として改組しまして、キャンパス近郊はもちろん遠隔地の地域との協働、また、地域との協働による研究・教育・社会貢献の一体的な推進の中核を担っています。 教学組織化にあたり、地域交流センター規程を設けて地域交流の目的、業務、組織体制などを定めました。また、各学部の教員からなる地域交流センター運営委員会を設置し、地域交流活動の計画立案や進行管理、各学部との連携を日常的に行っています。さらに、大学全体での地域交流活動の状況の把握(学内調査)、各年度の地域交流活動についての報告書『ゆかり』の発行、年に一度の地域交流センター主催のシンポジウムの企画運営等を行っています。 【菊坂跡見塾(旧伊勢屋質店)を活用した研究・教育・社会貢献の実践】 2015年、学校法人跡見学園は旧伊勢屋質店を取得しました。以降、建物の保存や管理をしている他、金曜日~日曜日に広く一般公開を行っています。また、名称を「菊坂跡見塾」として、研究や教育、社会貢献の場として活用しています。 2020年度からは、地域交流センターの呼びかけで、跡見「学芸員」in菊坂という有志学生からなるグループを結成し、所蔵の資料調査を行っています。調査結果は、外部から獲得した資金も活用した報告書にまとめたり、また、地域交流センター主催のシンポジウムや一葉忌(11月23日)に合わせた展示に活用をしています。 さらに、菊坂跡見塾の立地する菊坂町会や近隣の保育園と連携して、地域の子どもに菊坂跡見塾を知ってもらう活動などを行っているほか、かるた部学生と近隣の方による「かるた」会の開催などもしています。現在も、近隣の小中学校の児童・生徒の見学の受入れなどが具体的に検討されています。 また、コロナ禍以前は、観光コミュニティ学部設置科目「観光コミュニティデザイン実践」という実習科目の取組みの一環として、「かふぇ伊勢屋」という企画を行い、試験的に飲食物の提供、館内での朗読イベントの開催などをおこなっていました。 菊坂跡見塾は、今後も地域社会との協働の拠点として活用をしていく予定です。