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鳥由来人獣共通感染症対策に係る研究センターの取組みと、教育への還元

国立 鳥取大学 農学部共同獣医学科

6 教育研究等環境

鳥由来人獣共通感染症対策に係る研究センターの取組みと、教育への還元

鳥取大学 農学部共同獣医学科
種別 獣医学教育評価
年度 2023年度
区分 国立
規模(収容定員) ~4,000人
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取組み事例

鳥インフルエンザを初めとする各種鳥由来人獣共通感染症対策の確立及び鳥類疾病研究の担い手の育成を目的とした「鳥由来人獣共通感染症疫学研究センター」には、P3レベル実験室が設置され、農林水産省や厚生労働省等の行政機関より、インフルエンザ発生時の調査・検査が委託されている。センター兼務の獣医学科教員が、鳥インフルエンザに対応した現場の経験を授業に生かすなど教育にも還元しており、評価できる(評価の視点6-15)。

ここがポイント

  • 鳥インフルエンザを初めとする各種鳥由来人獣共通感染症対策の確立及び鳥類疾病研究の担い手の育成を目的とする「鳥由来人獣共通感染症疫学研究センター」を設置している。
  • 鳥インフルエンザ発生時の調査・検査を行うほか、現場の経験を教育にも還元している。

大学からのコメント

 鳥取大学農学部附属鳥由来人獣共通感染症疫学研究センターは、2005年4月に、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)やサルモネラ感染、抗菌薬耐性菌等、鳥類を感染源とする人獣共通感染症の対策確立を目的に設置されました。HPAIについては、出現予測、病原体の生態、病原性、遺伝子性状の解析などを、サルモネラ感染や耐性菌については飼養環境における生態や耐性遺伝子の調査を行っています。
 特に近年、地球規模で拡大し国内でも毎年のように発生しているHPAIについては、新たな拡大防止対策や危機管理体制の確立を目指し農林水産省や環境省と連携し、様々な施策の策定に貢献しています。農林水産省に関連した事例としては、HPAI発生農場でのHPAIウイルス(HPAIV)検出や環境DNAを応用した野生動物の侵入実態調査などを実施し、野生動物によるウイルス伝播のリスクや侵入対策などについて協力してきました。環境省に関連した事例としては、野鳥におけるHPAIV感染の確定診断機関としてHPAIV侵入の早期発見や分離株の分子疫学的解析による国内への侵入経路解明に貢献したほか、多様な野鳥のHPAIVに対する感受性を明らかにし、野鳥によるHPAIVの伝播リスクを明らかにしてきました。また、HPAIが展示動物施設で発生した際には、防疫のための助言や感染が疑われる動物の診断や清浄性の確認にも対応しています。地元鳥取県では、県内農場での発生リスク低減のため、県との共同で野鳥やその生息環境におけるHPAIV早期発見の調査体制を構築し、継続的な調査を行っています。県内農場でのHPAI発生時には、現地での疫学調査や農場再開に向けた環境整備への助言などを行いました。
 この他、国際共同研究として、ベトナムにおけるHPAIVの流行状況調査を長年に渡り実施し、同国における感染症制御に関する研究の一翼を担いました。民間企業との共同研究では、天然資材の抗ウイルス効果を調査し、それを活用した抗ウイルスマスクの製品化や、各種薬剤の殺ウイルス効果を検討しその成果を提供しました。
 本センター教員は、農学部共同獣医学科および共同獣医学研究科教員を兼務しており、研究活動で得られた知見や実務経験は、家禽疾病学、動物衛生学、公衆衛生学、微生物学、感染症学等の授業科目を通し学部や大学院での実践教育に生かされています。

鳥取大学 農学部共同獣医学科

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