2 教育の内容・方法・成果
基礎医学と臨床歯科医学をリンクさせた「バイオデンタル教育」

種別 | 歯学教育評価 |
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年度 | 2023年度 |
区分 | 国立 |
規模(収容定員) | ~4,000人 |
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取組み事例
「生物学に基づく歯科医学」を目指し、基礎医学と臨床歯科医学をリンクさせ、リサーチマインドを涵養することを目的として、4年次に学生全員を希望する研究室に配属する「歯学研究演習」を開講していることは特色といえる(評価の視点2-3)。
ここがポイント
- 「生物学に基づく歯科医学」という観点を重要視し、臨床歯科医学の授業に基礎医学の知見を盛り込んでいる。
- 歯学研究に関する科目を段階的・系統的に受講させるよう教育課程を編成し、4年次には学生全員を研究室に配属している。
大学からのコメント
広島大学歯学部では、独自教育(アドバンスド・カリキュラム)として、歯学部教育の3つの柱であるバイオデンタル教育、多職種連携教育、国際化教育に基づく独自科目を設定しています。
歯学科と口腔健康科学科における教育の共通基盤となるのが「バイオデンティストリー」です。バイオデンティストリーとは、バイオロジー(生物学)とデンティストリー(歯科医学)を掛け合わせた、広島大学歯学部オリジナルの造語で、「生物学に基づく歯科医学」という意味です。歯科医療では、う蝕や歯周病を治療するだけでなく、患者の全身状態についても判断する必要があります。全身疾患と歯科疾患は、とても密接な関連があります。生体で生じている現象をマクロの視点で眺めるだけでなく、細胞・分子・遺伝子レベルの動態とリンクさせて初めて詳細なメカニズムや、異常が生じた際に引き起こされる様々な病気の原因が理解できるようになります。バイオデンタル教育は、多様な研究を通じて基礎医学と臨床歯科医学をリンクさせた教育です。そのため、2年次後期から歯学研究に関する科目を設置し、研究に関する基本的思考力、歯学部の各研究室における先端的研究の講義、研究室配属における研究実践する科目を設置しています。2年次後期のリサーチスタートアップでは、研究倫理、遺伝子組換え実験、動物実験の基本や様々な研究領域の研究者の話を聞き、研究の大切さや果たすべき役割について学ぶとともに、適切な研究ルールや方法についての基本的事項を修得します。3年次の歯学研究特論Ⅰ・Ⅱでは、歯学部各研究室の先端的研究について話を聞き、興味のある研究分野を考え、4年次からの研究室の配属の一助とします。4年次から1年4カ月設定されている歯学研究実習では、学生が希望する研究室に配属され、実際に教員の指導の下で研究を実践し、得られた研究成果は研究発表会において発表します。これらの研究から、優秀な発表については全国歯科学生の研究発表を行うデンツプライでの発表を推薦します。また、得られた研究成果を論文としてまとめ、国際誌に投稿することもあります。