基準6:教員・教員組織
「FDマップ」を用いた教員の資質・能力の向上
取組み事例
専任教員に必要なコンピテンシーを教員歴に応じて4つの段階に区分し、到達度を明示した「FDマップ」を独自に作成しており、コンピテンシーに大学の理念・目的に即したヒューマンケアリングを加えるなどの工夫を講じている。また、「FDマップ」に基づき、セメスターごとに教員と教員組織の長が相互に評価し、ティーチング・ポートフォリオに集約することで教員による教育研究活動の振り返りに活用していることは評価できる。
ここがポイント
- 「FDマップ」では、専任教員に必要なコンピテンシー10項目を、教員歴に応じて4つの段階に区分しており、教員に必要な資質・能力を明確に設定している。
- コンピテンシーは大学運営に関する能力のほか、赤十字の理念の活用という大学の理念・目的に資する項目を設定し、大学が掲げるヒューマンケアリングへの理解を深めることで、各教員が行う教育にも反映できるよう工夫している。
- 「FDマップ」の内容に基づき、セメスターごとに自己評価と教員組織の長による相互評価を実施し、その内容をティーチング・ポートフォリオにまとめることで、教員の教育研究活動の振り返りに活用している。
大学からのコメント
本学では、令和2(2020)年度に、FD・SD委員会が中心となり、教職員が大学の理念を理解し、教育・学習支援に対する能力を最大限に高めていくことの必要性から、コンピテンシーを明らかにするFDマップ及びSDマップを作成した。現在は、このマップを活用し、計画的に系統立ててFD・SDを実施している。 このFDマップは、1 .大学組織の理解、2.赤十字の原則を活用する力、3.教育者としての基礎資質、4.教育全般を見渡す力、5.学生の生活支援をする力、6.研究を遂行し発展させていく力、7.地域を支援する力、8.情報リテラシー、9.自己啓発・自己教育力、10.(kango)臨地実習での教育・調整能力/看護実践能力の10のコンピテンシーで構成されている。 また、FDマップに示されているコンピテンシーの評価の指標の一つであるティーチング・ポートフォリオについては、FD研修での学びを経て、2年毎に作成し、自己及び学長・副学長・学部長の面接による相互評価を実施している。年度末の評価時期には、各自が職位・職務内容に応じて求められる能力レベルに沿って、客観的に自己評価し、自身の能力開発やキャリア形成支援に活用することができるよう体系化された仕組みになっている。 毎年、新任教職員には、FD・SDマップを用いて各コンピテンシーの初級レベルの能力に応じた研修内容で構成されたプログラムを実施している。また、従来の大学教育における教員の役割についての研修に加え、令和5(2023)年度からは、学長により、教育理念に基づき、より具体的に臨床実践者から大学教員にキャリアシフトをするということを前提に、大学教職員の特徴についての研修を実施している。 本学は、赤十字の理念のもと、ヒューマンケアリングの実践者の育成を目指している。したがって、今後も教職員が学生の目標となれるようマップを活用して自らが人間性を培い、教育・研究能力の質的向上を目指していく。また、大学は、社会の変化に伴い、能力項目や研修内容の検討を繰り返しながら、組織的に支援し続けていきたい。