大学の長所・特色検索

赤十字の理念を実現する看護を通じた COVID-19感染者への人道支援 ~電話相談や看守り活動によって地域医療を支える~

私立 日本赤十字看護大学

基準9:社会連携・社会貢献

赤十字の理念を実現する看護を通じた COVID-19感染者への人道支援 ~電話相談や看守り活動によって地域医療を支える~

日本赤十字看護大学
種別 大学評価
年度 2022年度
区分 私立
規模(収容定員) ~4,000人
関連タグ

取組み事例

 新型コロナウイルス感染症の拡大に対しては、2020(令和2)年に迅速に学内に災害対策本部を設置して支援体制を整備し、学長のリーダーシップのもと大学の方針を明確にし、行政からの要請に応じた支援活動を行った。特に、地域に根ざした看護を担える看護職の育成を目指すさいたま看護学部では、地域からの協力要請を受けて、大学の授業等がない時期に多数の教員をさいたま市保健所へ長期間派遣し、保健所の機能強化に貢献している。このことは、看護を通じて赤十字の理念である「人道」の実現に向けて努力する人間を育てる大学の教育理念に資する活動として評価できる。

ここがポイント

  • 学長のリーダーシップのもと、迅速に災害対策本部を設置し、新型コロナウイルス感染症の拡大を災害と位置づけ、支援にあたっての大学の方針を定めたうえで、地域の支援要請に応じられる体制を整備した。
  • 大学の教育理念「看護を通じて赤十字の理念である『人道』の実現に向けて努力する人間を育てる」活動を通じて蓄積した防災・減災対応のノウハウを生かしながら、行政による発熱相談窓口機能強化に学生や看護教員が協力し、新型コロナウイルスへの感染が疑われる方からの電話相談やトリアージ(重症度合いに応じた治療優先度の見定め)、必要に応じた保健所への連絡などを実践することで、迅速な人道支援に取り組んだ。
  • 2021(令和3)年から継続して地域の保健所等からの協力要請にも対応し、多数の看護教員を長期間派遣して新型コロナウイルス感染症の在宅療養者に対する電話での健康観察や相談を行うことで、保健所の負担軽減と患者の心身の健康状態を看守る活動に貢献した。

大学からのコメント

 本学は赤十字の人道を理念とする大学として、従来から災害時の支援活動に熱心に取り組んできた。2011年の東日本大震災の時には、被災地への支援をはじめ、石巻赤十字病院や石巻看護専門学校への支援活動を行った。さらに原発被害を受けた福島県浪江町住民に対する健康支援活動を2021年まで10年間継続した。このような活動により、教職員の災害支援に関する意識は長年にわたり醸成されてきた。  2020年以降のCOVID-19感染症への対応については、2020年2月から、危機管理対策として災害対策本部会議(感染症対策)を開催し、学内の感染対策や教学運営等に対応してきた。さらに地域貢献活動として、自治体や病院から教員個々に保健所活動支援要請がある場合は、感染症対応も災害と位置づけ、災害時支援と同等に積極的に協力する方針を決定し教職員に通知していた。それにより教員は個々の支援要請に対する活動を行った。 2021年の第5波の感染拡大時には、東京都、さいたま市などの行政から保健所やワクチン接種支援等の要請があった。これらの要請に対応するために、2021年8月末に災害対策本部会議(感染対策)を開催し、大学全体として行政支援を行う方針を決定し、教員が支援活動を実施できるよう大学の体制を整備した。これらの方針と対策については、全教職員を対象に臨時の災害対策会議(感染症対応)を開催し、学内の理解と協力を得た。  さいたま看護学部は、コミュニティケアを標榜する学部として、地域に根差した看護実践能力を育成する教育を学部の目標として挙げている。本学の理念及びさいたま看護学部の目標に即して、さいたま市からの要請に対しては、学部全体の取り組みとして対応する方針を決定し、学部で実施方法を検討した。具体的には、教員の自主的な判断(手上げ方式)による派遣方法とし、学部としての責任体制や連絡・報告ルート等を整備した。担当者の調整やガイダンス等は、さいたま市と連携のある地域看護学領域の教員が主に担当し、担当教員のローテーションを組んだ。さらに活動後の教員へのデブリーフィングや引継ぎ等直接支援に関わることだけでなく、教員不在の間の学内業務の分担を含めた学内フォローアップ体制も整え、教員個々の負担やストレスを軽減した。このような支援体制を学部として整備したことで、教員の協力も得やすくなり、スムーズな支援活動につながった。その結果、さいたま市からの信頼を得て2022年も支援活動を継続した。