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大学院学生自身による学習成果の可視化を支援する研究指導用オリジナル教材の活用

私立 日本赤十字看護大学

基準4:教育課程・学習成果

大学院学生自身による学習成果の可視化を支援する研究指導用オリジナル教材の活用

日本赤十字看護大学
種別 大学評価
年度 2022年度
区分 私立
規模(収容定員) ~4,000人
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取組み事例

 大学院ではポートフォリオを用いて、学習・研究の状況を記入してガントチャートで進捗を明示するのみならず、学位授与方針に示したスキルを修得するためのアクションプランや自己評価の項目を設け、学生が大学院入学時と修了時に学びの結果をレーダーチャートで可視化している。独自に開発したポートフォリオを研究指導において併用し、指導教員から学生に、研究の進捗やキャリアに必要なスキル等の修得に関してデータに基づき具体的に指導・助言している。看護の有職社会人学生が多いことから、ポートフォリオを活用することで大学院での学びのモチベーションを維持し、専門職としての主体的なキャリア形成を支援するという、学習成果の把握にとどまらない教育的な効果が期待できるため、評価できる。

ここがポイント

  • 大学院独自に作成したポートフォリオを用いて、学生自身が学習・研究の計画を立て、進捗や学位授与方針に示した技能や経験の修得状況を記録してガントチャートやレーダーチャートによって可視化することで、学習・研究の進捗を確認し、入学時と修了時との技能獲得状況を全体傾向として捉えながら比較して振り返りできるようにしている。
  • 学習・研究の進捗等を可視化することによって、教員は学生に具体的な指導・助言ができるようになり、教員と学生との円滑なコミュニケーションが目標達成に向けた取り組みの明確化にも役立っている。
  • 教員とのコミュニケーションが、看護師専門職として働きながら学ぶ学生の研究へのモチベーション維持や主体的なキャリア形成にもつながっていることから、学習成果の把握にとどまらない教育的な効果が期待できる。

大学からのコメント

 本学大学院看護学研究科は社会人学生が多く、それぞれの院生が志す専門分野は多岐にわたる。ポートフォリオは、大学院生自身が大学院で学ぶ目標や意味を確認し、今後のキャリア形成を考えるために活用することができる。そして、このポートフォリオは、指導教授が院生一人ひとりの目標達成やキャリア形成を支援するために、院生との個別面談等で活用されている。  ポートフォリオの内容は、「Curriculum Vitae」「Gantt Chart」「University Key Skill」のシートから成る。「Curriculum Vitae」では、これまでの自分のキャリア形成過程を振り返ることができ、大学院に入って取り組もうとしていることをキャリア形成(人生設計)という視点からも考え、大学院での学習を自分で意味づけられるようにしている。「Gantt Chart」では、在籍期間の学修工程管理のために用いることができ、自身の目標にあわせて、必修科目・選択科目を受講する時期などを記すことができる。ここに、学習・研究の状況を記入することで進捗状況が明確となり、学習状況の振り返りと今後の学習計画を検討することが可能となる。「University Key Skill」は、大学院の学位授与方針に示されている能力と得るべきスキルが明記されており、自身でアクションプランを立てることができるようになっている。入学時と終了時のスキルの得点をレーダーチャート化して、自身の現状と成長を確認できるようにしてあり、必要な力を身につけるための学内外での取り組みを計画することにつながっている。  学習・研究の進捗等を可視化したポートフォリオを用いた年次面談では、教員は大学院生に具体的な指導や助言を行い、学生個々の目標達成に向けた取り組みの明確化につながっている。このポートフォリオを活用することで、学位授与方針で示されている力を身につけるための学習活動、キャリア開発、就職活動等を支援するとともに、教育プロセス全体を高めることが期待できる。また、ポートフォリオを活用した学生支援は、大学院生自身の学習についてのリフレクションと継続的な学び方を支援することとなり、分野を超えた学習の促進やキャリア支援など、大学院での学習にとどまらない波及的な効果が期待できる。