eラーニング教材を活用した効果的な看護職育成
eラーニング教材を活用した効果的な看護職育成
大学評価
2020年
~4,000人
取組み事例
全看護領域の教員がシナリオ開発に関与したeラーニング教材「ミッションタウン」は、新生児から高齢者までの仮想住民が学年の進度に合わせて成長していき、それぞれの課題をアクティブラーニングで学べる独自のICT教育教材であり、学生の学習意欲の向上にも役立っている。さらに、仮想地域の中に仮想住民に関する様々なデータを蓄積する市役所を置き、このデータを保健統計学の授業において活用することにより、統計学的思考をもった看護職育成にも力を入れている。看護職になるために必要な知識・技術について現場(実践)をイメージしながら効果的に学ぶことができることから学生の満足度も高く、統計学の興味・関心の向上にも役立っていることから、質の高い教育の実践につながっていると評価できる。
ここがポイント
- ・全看護領域の教員がシナリオ開発に関与したeラーニング教材「ミッションタウン」は、新生児から高齢者までの仮想住民が学年の進度に合わせて成長していき、それぞれの課題をアクティブラーニングで学べる独自のICT教育教材であり、質の高い教育の実践につながっている。
- ・「ミッションタウン」の中に仮想住民に関する様々なデータを蓄積する市役所を置き、このデータを保健統計学の授業において活用することにより、統計学的思考をもった看護職育成にもつなげている。
大学からのコメント
本学のオリジナルeラーニング教材「ミッションタウン(以下MT)」は、「看護過程やシミュレーション教育の事例は領域を越えて共有できないか?」という意見から始まった。学生には看護対象者の家族背景や社会資源との連携など生活背景にも着目してほしいという思いから、事例を1つの町の住民とし、その生活環境も設定した町づくりへと構想が拡大した。まず各領域で講義やシミュレーションに登場する事例を集約して重複疾患を確認し、患者と家族を設定した。さらに共通して活用できる疾患やライフステージ、健康レベルなどを考えながら住民を構成した。町の外観や建物、住民キャラクター、看護を展開する看護学生キャラクターも構築し、Web上で確認できるようイメージ化を図った。
MTの活用として、例えば1年次の基礎看護の技術演習の対象者Kさんが3年次の老年看護では認知症を発症したり、公衆衛生で保健指導を行った患者Tさんの家族が母性看護演習で出産したりする。このようにほかの演習でも登場する患者が成長発達することで学生の感情移入を容易にするだけでなく、事例の健康課題の変化や、人のライフスタイルに関わる看護・保健活動の必要性を実感することに繋がっている。教員同士もMTを通じて情報交換を行い、他領域・他科目の演習目標や方法の理解が深まり、学生のレディネスの把握もしやすくなった。
MTはいつでもどこでもアクセス可能なWeb教材である。住民の家を訪ねると住民情報がPDFファイルで得られ、総合病院では実際に操作できる電子カルテから患者情報を閲覧できる。情報は動画やVR映像コンテンツも設定でき、紙面よりもよりリアルに事例を患者としてとらえることが可能となっている。
2019年度には、統計学の授業や多言語医療支援コースの事例として活用の幅が広がり、学生も参画する「まちづくり協議会」が始まった。これらの活動は、第16回日本e-Learning大賞「厚生労働大臣賞」の受賞に繋がった。
2020年度には、学生個人がMTを用いた学習履歴を記録し、振り返ることができるeポートフォリオとしてのマイページ機能を導入した。マイページでは、ログインや課題提出で貯まるポイントを利用して自分のアバターを育成するなど、ゲーム感覚で楽しみながら学習が進むよう機能を追加した。いつでもどこでも活用できるWeb教材の利点を活かし、学生が自ら学ぶ姿勢を修得するべく、今後もMTを発展させて学生の教育に活かしていきたい。