大学の知的資源を有効に活用した「災害対策教育センター」の設置
大学の知的資源を有効に活用した「災害対策教育センター」の設置
大学評価
2021年
~4,000人
取組み事例
大学の知的資源を有効に活用し、各組織・機関、教育現場、地域と協働して災害対策の推進を図るとともに、災害対策教育の充実と情報発信を通じて地域へ貢献するための組織として「災害対策教育センター」を設置し寒冷地型災害や災害看護に関する研究を行うとともに、赤十字救護訓練等への参加、国・道・市町村の防災関係担当者を対象にした厳冬期演習など実践的取り組みを行っている。「赤十字の理念とする人道的任務の達成を図る」ことを掲げた大学の理念・目的に基づく教育研究組織の設置として評価できる。
ここがポイント
- ・赤十字救護訓練等への参加、国・道・市町村の防災関係担当者を対象にした厳冬期演習など実践的取り組みを実施している。
- ・「赤十字の理念とする人道的任務の達成を図る」ことを掲げた大学の理念・目的に基づく教育研究組織の設置の取り組みである。
大学からのコメント
旧来の日本の災害対策・防災は、統一志向性が強く、沖縄から北海道まで同じような計画、防災資器材であることが多い。本学は、日本で最も寒冷な10万人都市である北海道北見市に存立する赤十字の教育・研究機関である。氷点下20度という寒冷期を活用した災害対応への取り組みを2010年から継続して進めてきた。災害発生時に、寒さが甚大な健康被害を生ずることを踏まえ、自然の寒冷環境を生かせることは本学の大きなメリットであり、厳冬期にインフラが停止した条件で、実践型の検証を行っている。当初5年間は検証を繰り返すたびに大きな問題・課題が露呈し、その課題解決の方法を見出すことはできなかった。しかし、災害対策を専門とする赤十字組織の強みと、心のケアをはじめとする災害看護学を生かし、一つ一つの課題解決型研究が進められ、答えが見えつつある。
2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震そして2018年に北海道を襲った北海道胆振東部地震など甚大な災害が発生する中で、日本赤十字社は被災地域の医療・保健活動を実践し、本学もその一翼を担った。特に、北海道胆振東部地震においては本学が研究用に備蓄していた段ボールベッドの緊急搬送ならびに展開が、国・道・被災町ならびに赤十字の協働によって日本で初めて実現し、令和4年4月現在でも避難所における最速の整備支援となっている。このように、本センターが地道に進めてきた検証事案と、災害現場で生ずる事案との共通点が数多く見出されたことにより、厳冬期演習においてもより具体的な設定を導入することが可能となった。その結果、寒冷期災害のモデル演習として、北海道内はもちろんのこと、日本全国の行政防災担当者、災害保健医療従事者が参加してきている。
災害大国日本においては、季節を選ばず地震・津波・火山災害が発生し得る。2021年12月に公表された日本海溝・千島海溝巨大地震に伴う被害想定では、震源域の地理的特性を踏まえて低体温症がクローズアップされ、予想死者数は東日本大震災をはるかに超える。現在の対策では不足している様々な事案について、行政、赤十字をはじめとする多くの関係者とともに議論しながら、本学の知的財産を活用した実践検証、訓練を進めることで、日本全体の安全に資する災害対策を具現化できるとともに、全世界で発生する災害対策としても活用されることとなろう。