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AIによる振り返り分析システムを活用したキャリア教育

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AIによる振り返り分析システムを活用したキャリア教育
私立
敬愛大学
基準7:学生支援

AIによる振り返り分析システムを活用したキャリア教育

敬愛大学
種別

大学評価

年度

2021年

規模(収容定員)

~4,000人

取組み事例

社会で活躍する人材に育て上げる独自プロジェクト「チバイチバン」において、1年次からキャリアデザイン、インターンシップ等の多彩なキャリア科目を開講し進路支援を充実させている。2019(令和元)年度から、これまで同プロジェクトで蓄積してきたデータに基づき、キャリア教育の質を高めるツールとして、AIを活用した振り返り分析システム(TIARA)を本格導入しており、学生の学び及びその成果を可視化し、学生にフィードバックする先進的な取り組みとして、今後キャリア教育のみならず専門教育への活用が期待できることは、評価できる。

グッドアイコン

ここがポイント

  • ・社会や企業が求める「社会人基礎力」を身につけることを目標とした就業力育成プログラムにより、1年次から多彩なキャリア科目を開講し充実した進路支援を展開している。
  • ・学生が自由記述した授業成果、自己評価をAIによる分析システム(TIARA)が解析し、学生の学びや成果を可視化しフィードバックする先進的な取り組みである。
  • ・今後キャリア教育だけでなく、専門教育への活用が期待できる。

大学からのコメント

【チバイチバン】
 キャリアに関して情報不足に陥りがちな学生、一般論で理解した気になる頭でっかちの学生、正解が提示されるのを待ってしまう学生を変え、主体的に実社会に向き合ってもらうにはどうしたら良いのか議論の末、コンピテンシー評価の活用に着目したのがスタートでした。
実社会に近い情報を教材化し、個人やグループでのワークを織り交ぜ、現実社会のビジネスや将来の自分をシミュレーションさせるプログラムを開発、そこでの取り組みを振り返らせることで受講生の気づきを可視化し、共有させることを目指しました。
ただ、指標とするうえで従来の満足度調査や直前直後の選択式アンケートでは心もとなく、自由記述を対象にしたテキスト分析に可能性を見出し、リフレクションシート開発に取り掛かりました。振り返りに取り組ませるタイミングや記述するシートのフォーマットを検討していく中で、それらが回収したテキストデータの質にも量にも影響することが見えてきました。
更に企業群へのアンケート調査をもとに、2010年に「チバイチバン」評価項目を作成、記述欄も加えて2013年現在のフォーマットに至りました。
【リフレクションAI分析ツールTIARA】
 当初手作業での分析を続けるも対象となるテキストデータが10,000件を超えるあたりから限界を感じ始め、実用化に当たって課題となっていた分析作業の効率向上を目指し、自動化に2016年着手、2019年にTIARAの本格的なテスト運用を始めました。
 テキストマイニングで多用される単語の出現頻度に着目した分析では、予想されたものを改めて確認できるにとどまる印象が拭えず、受講生の気づきを促し教育効果を高めるための活用には難しいとも感じました。そこで、手作業を伴う教師データの作成とそれを機械学習させたAI分析とを組み合わせることで、特定の要素を抽出、可視化し、その粒度を指標化することとに取り組みました。
 これにより、判断基準の揺れを抑えつつ分析作業を従来比1/30に圧縮でき、大きなデータでも切り口を変えて繰り返し分析する事が可能となりました。また、その分析スピードがフィードバックにも反映され、教育効果の向上につながったと感じています。
 更に教師データを変えることで、異なる属性のテキストデータにも、異なる目標の分析にも柔軟に対応できるようになりました。現在は異なる属性のアンケート、レポートなどの分析も試み、その適用範囲がどこまで広がのるか検証しています。
【アクティブラーニングへの活用】
 PBL型キャリア教育や取材型インターンシップなど、実社会を取り込んだ講座に取り組む一方、準備に手間暇のかかる割に受講生の行動変容が定着しにくいという課題を抱えていました。現地リサーチ、ディスカッションやプレゼンテーションなど取り組んでいる期間は教室が盛り上がり、受講生の表情も変わり、学修時間すら大きく増加するにも関わらず、その期が終わって半年もしない翌年の講座での取り組み姿勢は元に戻ってしまう事例も少なくなく、授業方法の改善だけでは限界があると感じていました。
 一方、リフレクション分析から得られた受講生の気づきを繰り返しフィードバックすることで、自分の変化を具体的に意識させやすく、それが踏み出す勇気にもつながり、新たな試みを誘発させる事例が増えました。ムダや厭わず、小さな失敗を乗り越える体験や偶然生まれた成功を再現できる体験を繰り返す過程そのものが自己肯定感を高めることにもつながり、新たな行動の定着にもつながるようです。
 また、指導する側にも受講して何を得たのか、どう受け止めたのか、学習者目線での評価がフィードバックされ、教材開発、選択の指標や難易度設定、受講生の傾向の掌握にもつながりました。指導技術や教材の優劣だけでなく、目の前の受講生の現状に合わせる指導の指標としての可能性も見えてきました。
  
【今後の展望】
 属性の異なるテキストデータの分析を進めて各種教師データを整え、適用範囲の拡大を図りつつ実践的活用モデルを整備し、合わせてアナログとデジタルの混合という特性を活かしつつ、フィードバックコメントの自動生成などTIARAの更なるバージョンアップを目指したいと思います。