「屋根瓦方式教育」を通じた医療人育成
「屋根瓦方式教育」を通じた医療人育成
大学評価
2023年
~4,000人
取組み事例
年次の近い研修医が学部で開講する実習等に参画し、自分の経験を生かして教育に携わる「屋根瓦方式教育」を実施しており、研修医には事前に、修了要件に含まれる研修プログラムである「レジデントFD」の出席を義務付けることで初期研修医や医学生に教える意義・スキルの修得を促している。さらに、学部学生が研修医の指導のもと医療現場における診療や福祉を体験することで低学年次から医師として患者に寄り添う姿勢や診療に要するコミュニケーション能力を高めるとともに、医師としてのロールモデルを学ぶ機会となっていることは、医療に携わる者としての全人教育に資するものとして評価できる。
ここがポイント
- ・年次の近い研修医が学部で開講する実習等に参画し、自分の経験を生かして教育に携わる「屋根瓦方式教育」を実施している。
- ・研修医には事前に修了要件に含まれる研修プログラムである「レジデントFD」の出席を義務付けることで初期研修医や医学生に教える意義・スキルの修得を促している。
- ・学部学生には低学年次から医師として患者に寄り添う姿勢や診療に要するコミュニケーション能力を高めるとともに、医師としてのロールモデルを学ぶ機会となっている。
大学からのコメント
今から400年以上前に、薩摩藩では先輩が後輩を教える教育法が確立され郷中教育(ごじゅうきょういく)と呼ばれていた。薩摩藩士であり島津藩医学校(鹿児島医学校の前進)でイギリス医学を学んだ本学の学祖である高木兼寛は、140数年前に本学を創設した時からこの郷中教育を取り入れたと考えられ、先輩が後輩を教える教育法は屋根瓦方式教育として本学の伝統となった。本学医学部医学科では、平成24年度文部科学省GP事業「参加型臨床実習のための系統的教育」を取得し、この屋根瓦方式教育をさらに充実させ、低学年から臨床能力を養う系統的なカリキュラムを構築した。すなわち、1年次から3年次には、学外実習施設の患者接触プログラム(7週間)で「職場の中で患者に寄り添う姿勢と能力」を養成し、4年次の全科見学型臨床実習(36週間)とキャンパスでの集合教育との組み合わせで診療の現場で求められる知識・技能・態度を養い、そして5年次からの4週間1診療科の参加型臨床実習(40週間)のなかで実際の診療に従事する「チーム医療への参画」を通して臨床能力を養うこと目指している。屋根瓦方式教育スキルアップのためのレジデントFDは、臨床現場で中心的な役割を果たしているレジデントに対し、診療現場での教育スキルの向上だけでなく、直近の後輩の指導を通して自らの臨床能力を高めていく双方向の屋根瓦方式教育の実践に寄与している。また学習の場を附属病院分院、地域の教育病院にも広げていくなかで、従来から実施している臨床実習指導医養成FDの対象を平成29年度からは本学の4附属病院だけでなく地域の教育病院の指導医にも拡大し、診療現場で学生教育に携わる指導医全体の教育スキルアップを目指している。この屋根瓦方式教育は、建学の精神「病気を診ずして病人を診よ」を先輩から後輩に伝承し具現化する良い教育法にもなっている。